「2026年」が「twenty twenty-six nen」、「3時」が「スリー・ジ」、「2人」が「ニニン」──。
数字の英語化と助数詞特有の読み問題を、形態素解析と数詞辞書で構造的に解決する方法をBefore / After 実証データ付きで解説。
Suno AIで日本語歌詞を歌わせるとき、アラビア数字(1, 2, 3)が英語的に発音される問題は2024年から続く既知の問題です。さらに「2人=ニニン or フタリ」のような数詞+助数詞特有の読み問題、「3時」「5月」「3000円」など時刻・月・通貨の組み合わせ処理も必要です。この記事ではその技術的な原因、3つの手作業の落とし穴、そして形態素解析+数詞辞書による構造的解決法を、3パターンのBefore/After実証データで解説します。
アラビア数字「1, 2, 3」は言語非依存の表記で、英語ベース学習の Suno には「英語の数字」として認識されやすい構造があります。3つの技術的原因を見ていきます。
第一に、アラビア数字の言語非依存性です。「2026」という表記は日本語でも英語でも同じ文字列です。漢数字「二千二十六」と書けば日本語と確定しますが、アラビア数字は文脈から言語を推測する必要があります。Sunoは英語ベースで学習されているため、デフォルトで「twenty twenty-six」と英語読みする傾向があります。
第二に、桁の読み方の言語差です。「3000」を日本語では「サンゼン」(千進法)、英語では「three thousand」(千進法だが桁区切りが違う)と読みます。Sunoは英語の桁読み(thousand / million)に強く引かれるため、「3000円」が「three thousand 円」、「100歩」が「one hundred 歩」のような奇妙な混合発音を生み出します。
第三に、数詞+助数詞の読み分けが日本語固有であることです。「2人」は「ニニン」とも「フタリ」とも読めます。「1日」は「ツイタチ」「イチニチ」「イチジツ」と複数の読みがあります。これらは英語にない概念で、Sunoの学習データには十分含まれていません。形態素解析と助数詞辞書を持つツールでないと、文脈に応じた正しい読みを選べません。
弊社の開発過程で実機検証した、Sunoの数字読み間違いパターンを以下にまとめます。
| 原文 | Sunoの誤読 | 本来の読み | 対応策 |
|---|---|---|---|
| 2026年 | twenty twenty-six nen | ニセンニジュウロクネン | 桁数フル変換 |
| 3時 | スリー・ジ | サンジ | 時刻読み |
| 5月 | ファイブ・ガツ | ゴガツ | 月読み |
| 2人 | ニニン/two nin | フタリ | 助数詞辞書 |
| 100歩 | one hundred 歩 | ヒャクホ | 数詞+助数詞 |
| 3000円 | three thousand 円 | サンゼンエン | 通貨単位処理 |
| 1990年代 | nineteen ninety nen-dai | センキュウヒャクキュウジュウネンダイ | 年代特有読み |
共通点は「**アラビア数字が英語的に解釈される**」点です。1~3は単純な英語化、4~5は助数詞読み問題、6は通貨混合、7は時代表現の桁数+接尾辞という複層問題が重なっています。
数字の発音を直そうとして、多くの人が試して失敗するパターンが3つあります。順に見ていきましょう。
読みは複数あり、Sunoが文脈で揺れる。
「2026」を「二〇二六」と漢数字(漢字+ゼロ記号)に置き換えれば英語化は防げます。しかし、漢数字「二〇二六」は読み方が複数あり(ニセンニジュウロク/ニーゼロニーロク/フタマルフタロク)、Sunoが文脈で揺れます。歌の中で同じ年号が違う読みで歌われるリスクがあります。さらに「二〇」の「〇」が「マル」と読まれることもあり、不安定です。
Sunoが括弧内も読み上げて二重発音になる。
「2人(フタリ)」のようにふりがな風に括弧で読みを添える対処も見かけます。しかし、Sunoは括弧を「補足説明」として認識せず、本体と括弧内を両方読み上げることがあります。「ニニン・フタリ」「two-nin・フタリ」のような二重発音が頻発し、歌として破綻します。本ツールは括弧記号を使わず、本文中の数字を直接カタカナ読みに置き換える方式を採用しています。
読みは確定するが、長く間延びして音楽的にも不利。
「にせんにじゅうろくねん」と全部ひらがなにすれば読みは確定します。が、視覚的に長く、音楽的にも間延びした印象を与えます。さらに、ひらがなが長く連続するとSunoの形態素解析が単語境界を誤認し、別の崩れを生むことがあります。カタカナの方が「単語の切れ目」として認識されやすく、歌としての音節分割も明確になります。
数字を一律にカタカナ化するのではなく、年号・時刻・数詞+助数詞・通貨などの文脈別に最適な読みを選んでカタカナ化することで、Suno の英語化と読みブレを同時に防げます。
「2026年→ニセンニジュウロクネン」「3時→サンジ」「5月→ゴガツ」を文脈で判別。
本ツールは数字の直後に来る単位(年・月・日・時・分・秒)を検出し、その文脈に応じた**専用の読み**を適用します。「3」だけなら「サン」、「3時」なら時刻読み「サンジ」、「3月」なら月読み「サンガツ」と切り替えます。Sunoの英語化を構造的に防ぐ最も確実な方法です。
日本語固有の助数詞読み(一人・二人・三人...)を辞書で確定。
「人」「日」「歩」「回」「本」などの助数詞は、前の数字に応じて読みが変わります。本ツールは助数詞辞書を持ち、「1人=ヒトリ」「2人=フタリ」「3人=サンニン」「4人=ヨニン」と正確に読み分けます。これは形態素解析と助数詞ルールの両方を持つツール特有の能力です。
「3000円→サンゼンエン」「100歩→ヒャクホ」で英語桁読みを完全排除。
「3000」を見るとSunoは「three thousand」と英語の千進法で読みがちです。本ツールは数字の前後の文脈(円・歩・回・人など)を見て、日本語の千進法(センエン・サンゼンエン・イチマンエン)を適用します。「100歩→ヒャクホ」のような助数詞付きの数も、正しい日本語読みで処理します。
本ツールは形態素解析→年号・時刻・月の文脈判別→助数詞辞書→通貨処理を全自動化。
ハイブリッド/カタカナの2モードを曲調に合わせて選択できます。完全無料・登録不要。
弊社ツール(ハイブリッド/カタカナ両モード)の実際の変換出力です。西暦は桁数フル展開、月日は専用読み、年代は接尾辞「ダイ」の処理が確認できます。
| Before(原文) | After(ハイブリッド) |
|---|---|
| 2026年の春に出会った 12月25日は雪が降った 1990年代の歌を聴く |
ニセンニジュウロクネンの春にデアった ジュウニガツニジュウゴニチわ雪が降った センキュウヒャクキュウジュウネン代の歌お聴く |
「2026年」は「**ニセンニジュウロクネン**」と桁数フル展開で読まれ、「twenty twenty-six」化を完全に回避しました。「12月25日」は「**ジュウニガツニジュウゴニチ**」と月日それぞれの専用読みに変換。「1990年代」も「**センキュウヒャクキュウジュウネン代**」と桁数展開+接尾辞「代(ダイ)」が漢字保持で処理されています。助詞「は→わ」「を→お」の置換も同時に動作。
| Before(原文) | After(カタカナモード) |
|---|---|
| 2026年の春に出会った 12月25日は雪が降った 1990年代の歌を聴く |
ニセンニジュウロクネンのハルにデアった ジュウニガツニジュウゴニチわユキがフった センキュウヒャクキュウジュウネンダイのウタおキく |
カタカナモードでは年代の「代」も「**ダイ**」とカタカナ化され、全体が完全カタカナ+助詞ひらがなの構造になります。Sunoから見ると単語境界が極めて明確で、英語化が起きる余地がほぼ消失します。
本セクションがこの記事の最大の差別化ポイントです。日本語固有の助数詞読み問題を、本ツールの数詞辞書がどう解決するかを示します。
| Before(原文) | After(ハイブリッド) |
|---|---|
| 3時に君と待ち合わせ 2人で歩く 100歩の道 夢を10年抱きしめて |
サンジにキミと待ち合わせ フタリで歩く ヒャクホの道 夢おジュウネン抱きしめて |
最大の発見:「2人」が「フタリ」に変換されました。これは本ツールが**助数詞辞書を持っている**ことの実証です。Sunoが何もしないと「ニニン」または「two nin」と歌う可能性が高いところ、本ツールは「1人=ヒトリ/2人=フタリ/3人=サンニン」という日本古来の数え方を正確に適用します。「3時→サンジ」「100歩→ヒャクホ」「10年→ジュウネン」も全て助数詞文脈に応じた正しい読みです。
| Before(原文) | After(カタカナモード) |
|---|---|
| 3時に君と待ち合わせ 2人で歩く 100歩の道 夢を10年抱きしめて |
サンジにキミとマちアわせ フタリでアルく ヒャクホのミチ ユメおジュウネンイダきしめて |
カタカナモードでも数詞+助数詞の読み分けは保たれます。「フタリ」「ヒャクホ」「ジュウネン」のような助数詞付きの数字読みが、他の単語のカタカナ化と整合的に処理されています。「待ち合わせ→マちアわせ」「歩く→アルく」のような動詞活用と組み合わさっても、数字部分の読みは確定したまま維持されます。
時刻接頭辞(午前・午後)、通貨単位、月読みなど、数字の前後に日本語特有の修飾語が付くケースの処理を示します。
| Before(原文) | After(ハイブリッド) |
|---|---|
| 午前7時の電車に乗り込む 3000円の指輪をはめる 5月の風が窓を叩く |
ゴゼンシチジのデンシャに乗り込む サンゼンエンのユビワおはめる ゴガツの風がマドおタタく |
「午前7時」は「**ゴゼンシチジ**」と接頭辞+時刻の連結が正確に処理されています。重要な点は「7時」の読みが「ナナジ」ではなく「**シチジ**」になっていること。これは時刻特有の伝統的読みで、「7時=シチジ」「7月=シチガツ」と固定されています。「3000円」は「**サンゼンエン**」と日本式千進法、「5月」は「**ゴガツ**」と月読みで、英語化(three thousand / ファイブ・ガツ)を完全に回避しました。
| Before(原文) | After(カタカナモード) |
|---|---|
| 午前7時の電車に乗り込む 3000円の指輪をはめる 5月の風が窓を叩く |
ゴゼンシチジのデンシャにノりコむ サンゼンエンのユビワおはめる ゴガツのカゼがマドおタタく |
カタカナモードでも数字+単位の読み分けは完全に保たれ、周囲の名詞・動詞のカタカナ化と整合的に動作します。日本語の固有読みが必要な箇所(シチジ・ゴガツ)と、桁数展開が必要な箇所(サンゼンエン)が、文脈に応じて自動的に判別されている点が本ツールの強みです。
形態素解析と数詞辞書でも100%は防ぎきれません。特殊な数字表記のケースを3つ紹介します。
小数点を含む数値は、文脈によって読み方が大きく異なります。「3.14」は「サンテンイチヨン」とも「サンテンジュウヨン」とも読めます。本ツールはピリオド「.」を「テン」と展開しますが、続く小数部分の読み(一桁ずつ/2桁まとめて)はユーザー意図に依存します。歌詞で小数を使う場合は、変換前に意図する読みでカタカナ書きするのが確実です(例:「サンテンイチヨン」と直接書く)。
カンマで桁区切りされた数字は、Sunoが「three comma zero zero zero」と読み上げるリスクがあります。本ツールはカンマを除去して「3000」として処理しますが、通貨記号「¥」「$」の前置詞は文脈によって誤読することがあります。歌詞では「3000円」のように記号を使わず日本語表記する方が安定します。なお「¥」は単独で「エン」と読まれることが多く、二重「エン」になる可能性も。
序数(第1位)はうまく処理されますが、ハイフンで区切られた電話番号・郵便番号は本ツールの想定外です。これらは歌詞には通常含まれない表記ですが、もし入れる場合は数字を直接カタカナ読みで書く(「ゼロサン・イチニサンヨン・ゴロクナナハチ」など)か、ハイフンを「の」に置き換える(「100の0001」)と読みが安定します。
→ 関連トピック:漢字読みを形態素解析で確定する方法と、英字・外来語を狙い通りに歌わせる方法も併せて参照してください。